Now Loading

株式会社新経営サービス

Books
出版物

トップページ > バイマンスリーワーズ > 己の欲せざる所は 人に施すなかれ

バイマンスリーワーズBimonthly Words

己の欲せざる所は 人に施すなかれ

2005年09月

今年の夏は、人類の歴史上もっとも悲惨な大事件となった広島と長崎への原爆投下、そして敗戦から60年ということでマスコミ各社もさまざまな特集が組まれました。私自身、自分が生まれるたった9年前(若い頃は9年も前に…と思っていた)のことなのに、身近な問題として考えていなかったことを反省する機会となりました。

アメリカでの原子爆弾の研究は、アインシュタインら世界的物理学者によってナチス・ドイツを滅ぼすことを目的に開始され、1945年7月、ニューメキシコ州の砂漠で世界初の原爆実験が行われました。それは200km離れた家のガラス窓さえ震えたほどの爆発力でした。

ここで重大な問題があります。

当初のターゲットであったナチス・ドイツはこの時点ではすでに敗北、日本も国力のほとんどを失っており、太平洋戦争終結は時間の問題だったのです。ですから原子爆弾を使うことなく降伏を迫ることはできたし、まして無防備な一般市民が生活する都市に投下する必要はまったくなかったはずです。

ところが広島にはウラン、長崎にはプルトニウムと2種類の爆弾を使い分けて、無情にも原爆投下は実行に移されました。

94年に広島大学名誉教授の芝田進午氏が新聞紙上で次のように主張しました。

「広島・長崎への原爆攻撃の目的は何だったのか。一つには戦後世界でのアメリカの覇権確立であり、二つには『原爆の効果』を知るための無数の人間への『人体実験』であった。」

芝田氏は、米軍が人体実験の情報を独占し、広島・長崎の医者たちに治療方法の発表と交流を禁止し、皮膚・臓器・血液・カルテを没収、日本政府をして国際赤十字からの医薬品の支援申し出を拒否させた、といった内容を取り上げて人体実験であったことを証明しているのです。

「原爆を投下するまで日本を降伏させるな」~トルーマンとバーンズの陰謀~(鳥居民 著 草思社)という本が出ていますが、真相はこのタイトル通りであったのだろうと思わざるを得ません。

ところが、「原爆投下は戦争を終結させるためのものであった」と主張するアメリカは、「その結果、百万人のアメリカ人と多くの日本人の命を救った」という強引な結論を押し付けています。

人類の月面着陸は大ウソ?

アメリカの強引さから疑問に感じる大きなことがもう一つあります。

アポロ宇宙船は本当に月面着陸に成功したのか?という疑問です。この疑惑は数年前から世界的な噂になっていますが、日本では『アポロは月に行ったのか?Dark Moon 月の告発者たち』(五十嵐友子 訳)という本が出版された3年程前から話題になりました。

疑惑の趣旨は、空気のないはずの月面でなぜ星条旗が風にはためいているのか。月面での光源は太陽だけなのに宇宙飛行士の影が2方向に分かれている。月の石のようなものは実験室で簡単に製作できるし、あとの証拠は写真と映像フィルムにすぎない。これらはアリゾナの砂漠に設置された特設セットの中の映像ではないのか、といった内容です。

国内では、副島隆彦氏が「人類の月面着陸はなかったろう論」と題して、強烈にNASAを攻撃していますが、これは技術的な側面からも疑問を暴いています。それはアポロという名の月ロケット(ただし全て無人)が軟着陸に失敗した残骸はあるが、人間は月に降り立っていない。NASAが公表している月面での飛行士たちの活動映像はすべて偽り、大ウソだというのです。

私自身もこの噂が出始めた頃から疑問を抱くようになりましたが、それは科学的な裏づけのない直感に近いものです。30年以上も前に月に行ったのなら、簡単な宇宙ステーションぐらいはあってもいいのではないか、未だに地球の周回で何度も失敗しているのはどうもおかしい。今回、無事に帰還した日本人飛行士の野口聡一さん達が乗ったスペースシャトルの周回軌道は、地球から350kmあたりの上空で、月までの距離はその1000倍以上の38万kmもあるのです。

このあたりの情報は、テレビ朝日系が疑惑の姿勢をとっていますのでご覧になった方も多いでしょう。

もし、月面着陸が本当になかったのならば、世界中を騙すアメリカのショーが大々的に行われたことになります。学校の歴史教科書に必ず登場する、あの「アポロ宇宙船の月面着陸」の写真は大間違いになるのです。大国がその威信を確保するためとはいえ、私達大人は「ウソをついてはいけません」と教えている子供達に対して何といって釈明すればいいのでしょうか。

数年先の日本が分かる「年次改革要望書」

戦争や宇宙の話が少々愚痴っぽくなってきましたので、経営問題に話を移しましょう。

思い出してください。今から20年前の85年から始まったバブル経済はすべてアメリカの描いたシナリオ通りでした。ほんの一握りの日本の指導者達は知っていたのでしょうが、金融・証券・不動産を中心に多くの企業がバブル経済に乗せられてしまい、大打撃をうけました。

当時の政府が打ち出した経済方針は「内需拡大」。私自身も経験の浅い人間でしたから、その意味が分かりませんでした。それは国内の資産、特に土地と株の価値を上げよ、というアメリカのための方針だったのです。「豚は太らせて食え!」という西洋のことわざ通りに事が進んでいきました。

そして90年のバブル崩壊。その時も何が起こったのかよく分かりませんでした。株価大暴落、銀行の総量規制、破産・倒産の続出、デフレ経済の進行、未経験のことが続いて起こりました。その間、日本に蓄積された資金はことごとくアメリカに流れていったのです。

続いて93年に宮沢・クリントン合意に端を発する「成長のための日米経済パートナーシップ」がスタート。米国企業が日本に上陸して、企業買収などの仕事をしやすくするための「規制緩和」が始まりました。翌94年から「年次改革要望書」が毎年交換されることになりました。が、その実態は米国からの押し付けのオンパレードです。(「年次改革要望書」は2009年に廃止となりました)

この要望書は各業界に影響があるものばかりです。電気通信・情報技術・エネルギー・医療機器・医薬品・金融サービスなどの制度改革や、民営化・商法・流通についての法改正などに「ああしろ、こうしろ」と事細かく指示をしてきます。もちろん今回の郵政民営化問題もキチンと注文がついていました。

ですからこの要望書を読めば数年後、内容によっては1~2年先の日本の姿が見えてくるわけです。

弊社にもアメリカ人スタッフがいますので、彼ら一人ひとりの人間性や人格の高さは大いに認めております。しかし、国家レベルや大組織の体制指導者となると、あまりにも自己中心的で、自分の価値判断を強引に押し付ける点には辟易します。

もっとも高い、争いによるコスト

原爆投下、アポロ月面着陸疑惑、バブルの形成と崩壊、そして企業買収と、アメリカには見事にやりたい放題にされている現在、我々はどうすればいいのでしょうか。

孔子が弟子の子貢からこんな質問を受けました。

「一言にしてもって終身これを行うべきものありや」(生涯守るべき信条を一言で表せますか?)

孔子は次のように答えました。

「それは恕か。己の欲せざるところは、人に施すなかれ」(それは恕だろうね。自分が好まないことは他人にも押し付けないことだ)
 ※[恕]…相手を自分と同じように見る心

あの孔子が、生涯を通じて守るべき信条として一つ選んだことは、「自分が嫌だと思うことを相手に押し付けてはならない」ということだったのです。

これは、簡単なようですが、最も高度で、実行が難しい問題だと思います。

私はコンサルタントであって政治は素人ですが、企業運営と国家運営の共通点を見つけるなら、それは争いによるコストが最も高くつく、ということです。国家が他国と戦争するのと同じく、同業他社との価格競争、陣取り合戦、内部抗争による多大なるエネルギーの費消と精神バランスの欠如、などは非生産的な破壊活動であり、学習はあっても進歩はありません。適度な摩擦やストレスは必要ですが、人と人との争いが組織を疲弊させて、大きな損失を発生させます。

アメリカを真正面から倒すような勢力は現われないでしょう。しかし平家物語の「盛者必衰の理」の通り、このままだといずれ内側から崩壊すると思われます。そのことを考えるとアメリカとは協調はするが、アメリカに頼らない国家作りを、私達は何年かかっても実現しなければならないのです。

ところが現在の日本は「第二次の米国の占領下」にあり、このまま推移するとアメリカの51番目の州に配属される可能性もあります。そうなると自立の道が閉ざされてしまいます。

自立国家であるためには、自立できる企業、団体、家庭、そして突き詰めると個人一人ひとりの自立がなければ成り立ちません。一人ひとりの人間が、やられたからといってやり返す、ウソをつかれたからウソをつく、騙されたら騙すという、という生き方をしていたらどうなるでしょう。

それは相手を破壊する行為であり、自立ではなく孤立してしまいます。

世の中には、大なり小なりウソをついて、相手を騙して、隠し事をしながら自分の都合で強引に商売をする輩がわんさといます。企業や国家レベルの指導者でも平気でやっているのです。しかし、そんなことに影響されて自分もやると社員に対して多大な悪影響を与えてしまいます。

だからこそ、自分だけはウソをつかない、自分を浮上させるために相手を騙すようなことは決してしない。中小企業という小国家であっても、そんな生き方を貫こうではありませんか。

文字サイズ