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バイマンスリーワーズBimonthly Words

下学して上達す

1991年03月

「下学(かがく)」とは身近なところから学ぶこと。自分の志と少々違っても、これを天意と心得、目前のことにコツコツ励むことで、その結果は一歩一歩向上し、やがて上達の域にたどりつくという意味です。出典は「論語」、つまり孔子の言葉です。古人の言葉に触れたとき、叛意の起こらない自分があることに不思議さを感じます。

新入社員が入社してくるシーズンとなりました。近年は、入社して数力月、また2~3年で転職する若者が非常に増えてきております。人手不足という環境の中、転職が容易で、マスコミで「職業選択の自由」が叫ばれているからでしょうか。現在の自分の職権やポスト、勤務環境に不平を並び立てる人も増えてきているようです。

しかし、一つの仕事で満足な成果をあげることのできない人が、他社ヘ移ったからといって成功できるのは稀です。まずは為すベきことを為すことが肝心であると思います。

 

新入社員がまず為すべきことは、学ぶ姿勢を確立することです。このことは中途入社の社員であってもまったく同じ。学ぶ姿勢がなくなったとき、彼の成長はまちがいなく止まってしまいます。

企業としては業績を向上させることが最優先であり、学ぶことが優先とはならないでしょう。(学ぶことが本を読んだり、セミナーに出席することだけでないのは当然のこととして…)しかし、学ぶことを忘れてしまったとき、確実にその企業は衰退の方向に向かっています。特にトップや経営幹部がこのことを忘れたときは恐ろしい状態が予想されます。

弊社の経営理念を端的に表現すれば「生涯教育=生涯学習」であります。(もちろんこの状態が実現できていないために経営理念に掲げているのですが。)誰でもどんなときにも学ぶ姿勢を忘れずに、成長していきたいものです。

人は学びによって善とも悪ともなり、人間の種類によって善悪があるわけではありません。

 

学ぶとは“心に誠実さを刻む”ことであり、

学ぶとは“自己の足りなさに気づく”ことでありましょう。

 

この姿勢を新人の間に下学して確立しておかないと当人の人生、そして企業の盛衰に大きな影響があるように思えてなりません。

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