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バイマンスリーワーズBimonthly Words

大地黄金

2018年07月

まずは名曲 What A Wonderful World ~ この素晴らしき世界 ~ をお聴きください。

♪ 音楽サイトなどで聴いてからがお奨めです ♪

数々の名曲を世に送り出した ルイ・アームストロング。
世界中にジャズを広め”キング・オブ・ジャズ”と称されました。
独特のダミ声で熱唱する「この素晴らしき世界」は晩年66歳の作品。
魂の奥まで揺さぶられるその訳は、磨かれた歌唱力だけではないでしょう。

ニューオーリンズの貧民街に生まれ、人種差別に遭いながら、
幼少の頃から家計を助けるためにどんな仕事でもこなしました。
恵まれない環境から這い上がってきた人生後半の一コマでしょうか、
反発心を感謝心に昇華させた人生観が、この詩を通して伝わってきます。

歌は周囲に対する感謝の念を大自然の恩恵にたとえています。
それは、裸一貫から会社を成長させた中小企業経営者と重なります。

緑の木々や赤いバラの花は、お客様や仕入先。
青い空や白い雲は、同業者や地域の人達でしょうか。
いい日も辛い日もあったが、本当にお世話になりました。
今あらためて思う…なんて素晴しい世の中なのかと…。

暗かった業界が明るい業界に 辛かった職業が楽しい職業に

日本経済の実態は、大企業の陰で中小企業が支えています。
たとえば自動車業界や産業機械の部品メーカーに対し、
コストダウンや高度な品質追求は絶え間なく続き、
大手企業の下請け業者への要求は厳しいものでした。

ところが一社依存の下請けに過ぎなかった企業が、
親会社の要求に懸命に応えていくうちに体質が鍛えられ、
多くの企業と取引ができる研究開発型のメーカーになっている。
厳しい中でも与えられた仕事を極めると光り輝く企業になるのです。

きつい、汚い、危険と呼ばれた3Kの職業の場合はどうか?
建設・土木の現場作業、廃棄物処理や各種清掃業務など、
過酷な肉体労働を伴うため敬遠されがちな職業で、
業界としても裏方の暗いイメージがあります。

しかし、地球環境問題が深刻化している昨今では、
廃棄物処理や下水処理などの分野で技術を持つ企業や、
航空機などの特殊清掃ノウハウを持つ高収益企業もある。
汚れる仕事だが汚くはない技術者集団として注目されています。

では、衆目が集まるような職業の場合はどうか?
医師や弁護士、政治家など社会的責任が重い人の中に、
その特権を利用して収賄や横領などの不正をはたらく人もいる。
公正であるべき職業なのに汚い仕事ぶりになっているのは残念です。

黄金の大地は足元にあった

~ この素晴らしき世界 ~ の後半には「次世代への期待」が込められています。

経営者の目線に置き換えるとこんな感じでしょうか
若い人たちが協力し、頑張っている姿がみえる。
次世代を担う彼らが成長するのを見守っていこう。
彼らは私たちの頃よりもっと多くのことを学ぶだろう。
今あらためて思う、なんて素晴しい若者たちなのかと…。

人手不足の今、次世代を担う若い社員を採用するのが難しい。
やっと採用しても3年以内に3割の人が離職するという。
転職を繰り返しても自分にピッタリの職場が見つかり、
人生を貫く仕事に出逢えたらいいが、はたしてどうか?

「大地黄金」という言葉があります。
~ 光輝く黄金の大地は最初から存在するわけではない。
自分が置かれている場所で、精一杯に力を尽くしなさい。
そうすれば、その場所が黄金のように輝いてくるであろう ~
こんな意味を持つ「禅」の言葉です。

人は今の仕事で納得できる結果が出ないと、
自分が輝ける場所がどこかにあると思ってしまう。
ところが、人生のステージはそう簡単には好転しない。
今の仕事で発生する難題は、あなたが成長するための課題。
この課題に正面から向き合わずして、人生が好転するはずもない。

経営者が抱える問題も同じこと。
あなたの部下も、事業も、そして人生も、
輝ける黄金の大地はあなたの足元にあるのです。

あなたを生かすか否かを決めるのは 天ではなく あなたである

置かれた場所で咲いているアジサイが美しい。
厚みのあるしっかりとした葉っぱの新緑がまぶしい。
部下の短所ばかりを見ていると、優れた長所はわからない。
過去の実績にとらわれていると、事業の将来性にも気づかない。

短所ばかりが目立つ若者も、可能性は無限です。
業界全体が縮小し、成長が見込めない事業であっても、
足元の土を払うとキラッと黄金の輝きが見えるではないか!
黄金の大地をどこかに求めないで、今を輝かせる覚悟をしよう。

「どこか」ではなく「今の場所」を極めよう。
「だれか」を求めず「今の社員」をいかに輝かせるか。
「いつか」ではなく「今を生きる」ことにもっと力を注ごう。
天の裁きは、生かすも殺すも、今を生きるあなた次第なのです。

♪ Yes, I think to myself  そう、ひとり思うんだ
  What a wonderful world.♪  なんて素晴らしい世界だと…

「この素晴らしき世界」の最後はこのフレーズがくり返されます。
近年、米国で人種差別問題が再燃し、不満からくる暴動が絶えない。
ルイも同じ問題に悩んだが、大地が美しく輝いていることを訴えました。
じつはこの曲が生まれた背景には、ベトナム戦争への嘆きがあったのです。

かつて黄金の国ジパングと呼ばれ、70年余りも戦争のない日本。
国際情勢が激変する中で、国内政治の停滞が嘆かわしい。
戦争をする国家に誘導されることのないように、
ここはしっかりと踏ん張ってもらいたい。

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